軽く息を乱しながら玲は大学の校舎を駆け上がっていた。
階段を駆け上る度に玲のサラサラした髪が揺れる。
玲の目的地は2号館4階にあるピアノ練習室だ。
玲にとっては縁がないピアノ練習室は少し入り辛いものかも知れない。
それは何故かと言うと、彼が幼児教育科の人間ではないからだ。
幼児教育科の学生には専門科目としてピアノの科目が課せられることになっている。
普段の授業は電子ピアノが50台程並んだ部屋で行うのだが、個人が練習したりする部屋もある。
それらは個人練習室と称され、防音加工がされた冷暖房付きの個室にアップライトのピアノが入れてある。
玲はその練習室の1つにある人物から呼び出しを受けていた。
玲は部屋の入り口にある表示で部屋の番号を確かめ、指定されていた部屋に入る
。
重い扉を開けると中には呼び出した人物がピアノを弾く指を止め、笑顔で玲を招き入れた。
「遅くなってすみません」
相手のが早く居たことに対し、自分が遅かったかも知れないと思った玲だが、相手は気にしていないと返答する。
「で、本題なんだけど一昨日の夜何処に居た?」
呼び出した相手は玲を自分が座る向かいに置いた椅子に座らせ質問をする。
相手は一昨日の玲の居場所が気になっていたようだ。
「一昨日の夜は居酒屋にいました」
玲は友人たちと居酒屋で呑んでいた。
そして相手は何か言いたげな目をしたかと思うと脚を組変えて再度質問をする。
「誰と居たの?」
「友人たちと居ました」
嘘を吐いては無い。
しかし何故か玲の背中を寒気が駆け上がる……
「クラスの子?」
「僕たちに『クラス』はありませんよ」
そう、呼び出した相手には『クラス』がある。
『クラス』があった方が何かと便利な科に属しているためだ。
その科とは幼児教育科。
未来の保育士、幼稚園教諭を育成する科となっている。
まぁこんなヤツが保育士?と思われる様な雰囲気を身に纏っているが…
「で、その時に酔ってテンションの高くなった女の子にキスされちゃったんだ?」
玲の寒気は的中した様に、相手はにこやかに冷気をかもしだしている。
「何で知ってるんですか?」
驚いた玲は肩をくすめて聞き返す。
「俺の情報網を甘くみないでね」
相手は先程とは正反対の真顔になり、玲の顎に手を掛けた。
そして『くいっ』と玲の顔を少し上に向かせる。
「勝手にキスされちゃうような無防備な子にはお仕置きしちゃおっかな」
玲は逃げようと頭では思えても体が動かない。
呼び出した相手にはかなり弱い立場にあるのだろう。
その為に何をされてもされるがままになることは火を見るよりも明らかだった。
「せ、先輩?何をする気ですか?」
焦りながらも訊く玲に対して先輩と呼ばれた、玲を呼び出した相手は淡々と『お仕置き』と答えるだけ。
一気に玲の顔が青ざめる。
そして呼び出した相手の顔が玲に近付き唇に唇が触れた。
「あっ…んっ…」
玲は必死に相手の体を押し返す。
しかし相手が素直に離れる筈は無い。
舌が絡み合い、深くキスを交す頃には玲の理性は粉々に崩れていた。
「んっ…先輩っ…」
鼻に掛った様な玲の声が相手の耳を通して刺激する。
相手が玲の舌を吸うと玲は目をとろんとさせて相手を見つめかえした。
「気持よくなっちゃったの?もう、玲ちゃんは淫乱なんだから。ってそうさせたのは俺なんだけどね」
相手は満足そうに玲を見ると再度口付けをする。
唇は奪われ、服を脱がされ、まさぐられる……
相手の指が玲の躰に触れる度に玲の躰はビクビクと跳ねた。
「あっ…んんっ…先輩…っ…」
泣きそうな声で玲が喘えぎ、相手に何かを懇願するような目を向ける。
「どうしたの?何を期待してるの、仔猫ちゃん?」
余裕の笑みを浮かべながら相手はわざと玲の1番感じるであろう場所には触れな
いでいる。
内股を擦り併せるような動作でそわそわする玲と余裕の相手。
それはかなり対象的だった。
「何処を触って欲しいのか言わなきゃ触ってあげないよ」
フフッと鼻で相手は笑い、無理矢理にでも玲に淫語を言わせようとする。
「ほら、どうするの?」
すると玲は我慢出来なくなったのか、自分で自分のスボンに手を掛ける。
しかし、それを相手が許すはずも無く…
ぱっと玲の手を掴んでしまった。
「先輩…」
「何て言ったら良いのかな?」
にやにやしながら相手がそう尋ねると、理性の破壊が進んでいる玲は躊躇い無く答えてしまう。
「僕のココ…触って下さい……」
流石にはっきりとは言えずに何処をかを示すだけだが、相手は満足だった。
「偉い偉い。じゃあ玲ちゃんの仰せのままに」
そう言うと相手は玲に腰を浮かさせて、スボンに手を掛けると一気に下着さら衣服をはぎとった。
合成革の椅子に玲の脚の付け根から溢れた液体が流れる。
「俺が見てるだけでこんなに溢れちゃうの?可愛い」
そして相手は強く吸うように玲のモノにキスをする。
「あっ…!!」
呆気無く果てる玲。
相手は玲が出した精を、少し舌を出して、まるで甘いお菓子を少しづつ味わう様に舐めた。
ぴちゃぴちゃと舐める音が部屋に響く。
「せ、先輩っ…やめ…」
「何で?また勃ってきちゃうから?」
更に顔を赤くして玲はうつ向いたが、うつ向くと相手に指摘された様に緩やかにまた勃ち上がっている自分のを見てしまい、どうしてよいか分からなくなる。
「ほら、立ってピアノに寄りかかって。後ろ触るから」
玲は言われた通りにピアノに寄りかかると、相手は玲の後孔に自分の唾液で濡らした指を挿入した。
「あんっ…そこいや……」
嫌と言いながらも相手がある一点をコリコリと擦ると玲のは先端からポタリポタリと涙を流す。
指が増え自然と息が荒くなってきた。
「もうっ…ください!中に欲しいです!」
すると相手は短く『分かった』とだけ返事をすると自分の膨張したモノを玲の後孔にあてがい一気に奥まで入れた。
「あっ…あっ…!!」
段々玲の腰も自然と振り始め、相手のを閉める。
「もうイきそうです…」
叫ぶに近い声で玲が言うと相手は玲の首筋にキスを一つ落として挿入を速く、そして深くした。
「あっ…あっ…―――…!!」
そして玲はピアノにすがる様な形で倒れるのだった…
=END=
「………………これは何ですか…?」
社長のパソコンを付けたら勝手にワードが起動して出てきた文書がこれとは…
うちの会社の先行が不安になったり。
「あ―――私の秘密ぅ――」
後ろから社長がウゴウゴ言ってるけど気にしない。
「社長、瑠依ちゃんを使うのは勝手ですけど玲ちゃんは使わないであげて下さい
。可哀想でしょ?」
瑠依ちゃんは使ってもいいのよ。
アングラの女王様してた時代もあるような人だから。
「だって玲ちゃん可愛いんだもん」
確かに可愛いけど駄目ですよ…
多少の不安を残しつつ、私は文書をデリートするのだった。
=終=
**あとがき**
上までが水那瀬社長の妄想小説。
で、それを発見した秘書さんがその小説をデリートと言う内容になっております。
にしても、長いよ・・・
06.3.20